Adobe Photoshop Elements 2021 のAIで他界した母の昔のモノクロ写真をカラー化

update 最終更新日:2023年4月22日 at 8:31 PM

これまで永らく、フォトレタッチソフトでは、Micrografx Picture Publisher 8(Micrografxは、2001年にカナダのコーレルに買収される)、ならびに、Adobe Photoshop Elements 6(2007年リリース)から Elements 14(2015年リリース)までのバージョンを使っていました。

蛇足にはなりますが、私がSEだった時代、アメリカ Quark 社の DTP ソフト QuarkXPress のプラグイン開発の仕事をしたことがあります。CAD 開発の実績を評価され、仕事の依頼が来ました。
発注先は JASRAC で、プラグインの位置づけとしては、画像を著作権保護するための研究開発目的のシステムの一部でした。開発プラットフォームは Windows(Microsoft Visual Studio)、実装は DLL、開発言語は C、API マニュアルは全て英語、分からない事はアメリカ本社へ英語で問い合わせる(日本で分かる人は誰も居ないため)という開発環境でした。恐らく、当時、このプラグイン開発の経験者は日本では私一人だけだったのかもしれません。
しかしながら、QuarkXPress は、Mac OS X への対応が遅れた事が原因で、今や DTP ソフトの分野でも Adobe InDesign によりシェアを奪われているようです。

そして、フォトレタッチソフトの分野では、Adobe Photoshop Element 14 のリリースから、5年の歳月が経ち、Adobe Photoshop Elements は、Elements 2020(2019年10月にリリース)を経て、Elements 2021(2020年10月にリリース)で大幅な進化を遂げています。
コロナ禍での自粛生活で暇を持て余しているというのもありますが、新しいもの好きの私としては、今更ながら最新バージョンのAdobe Photoshop Elements 2021 がどうしても欲しくなり、購入を決断しました。

Adobe Photoshop Elements 2021 の購入

Adobe Photoshop Elements 2021 は、以下の Adobe の公式サイトより購入できますが、パッケージ版だと、19,580円で、アップグレード版だと12,980円となります。
割と高めなので、海賊版でなく、最も安く正規品を購入する方法がないかと考えた結果、Windows 用のダウンロード版を Microsoft Store から購入することにしました。



以下リンク先の Microsoft Store より、 Adobe Photoshop Elements 2021 (現在、Elements 2023) が11,700円で購入できます。2020年11月では、40%OFFの7,020円で購入できたのですが… 残念でした。

ちなみに、Mac をお使いの方は、こちらから15,800円で購入できます ⇒ ‎「Adobe Photoshop Elements 2023」をMac App Storeで


Adobe Photoshop Elements 2021 (Windows用)を動作させるための最小システム要件を以下に示します。
OS は、64bit 版が要求される事にご注意下さい。
メモリは最低4GBを必要とされていますが、実際のところ 4GB の RAM で実行させると、かなりきついです。
マカフィーなどのセキュリティソフトを入れるとメモリがギリギリでの動作となります。できれば、6GB以上*のメモリが欲しいところです。* Adobe のサイトでは 8GB 以上が推奨されています
また、インストール時には、3.4GB のファイル(インストール後は、凡そ7.1GBのHDD容量)をダウンロードするため、インストールには相当な時間を要します。
Microsoft Store で購入したバージョンは最大10台までの PC にインストールできますが、バージョンアップする場合は、Adobe とは別バージョンであるため、Adobe のアップグレード割引は適用されないようです。

項 目要 件
OSWindows 10 バージョン 18362.295 以降
アーキテクチャx64
キーボード統合キーボード
マウス統合マウス
メモリ4 GB
タッチ指定されていません(統合タッチを推奨)
プロセッサ1.6 GHz processor or faster
Adobe Photoshop Elements 2021 の最小システム要件


2021.05.04 追記
Dell のノートパソコン Vostro 15 3558(Intel Core i5-5200U)で標準搭載されているメモリ 4GB では動作が厳しいので、4GB の増設用メモリ DDR3L SDRAM PC3L-12800(1600MHz) を楽天で購入しました。これによりメモリ 8GB での運用となります。購入価格は2,190円と安かったので、もっと早くメモリを増設しておくべきでした。


Adobe Photoshop Elements 2021 の主な特徴

以下の画面の左側の写真は、Elements 2020 からの新機能である「被写体自動選択」を実行した後の状態です。
これまでは、なげなわツールやマグネット選択ツールなどを用い、半自動でオブジェクト選択の操作を行っていましたが、これが完全に自動化できるようになったのは本当に素晴らしいことだと思います。これは、Adob eの AI 技術(Adobe Sensei)により実現された機能の一つです。

操作は、メニューから「選択範囲」→「被写体」をクリックするだけで、オブジェクトが自動的に認識され、選択状態となります。以下の例では、選択したオブジェクトを右側にある別画像のビーチに置いてみました。

その他、「閉じた目を開く」機能も試してみましたが、サンプル画像の目の形状や色彩によって印象が大分変ってしまうので、これはあまり簡単には使えない機能でした。

Elements 2021 の主な特徴は、以下の通りです。

インテリジェントな編集。完璧な写真。魅力的な作品づくり。 クリエイティブなインスピレーションを、感じたままに表現しましょう。
● Adobe Sensei の AI 技術*を使ってできること:
○ 静止画に動きを追加、自動彩色、ワンクリックで被写体選択、人物の顔の位置を微調整するなど、様々な機能が使えます。
● 心に響くメッセージ入りグラフィックスはソーシャルメディアに最適です。
● 使いやすい58種類のガイド付き編集機能:
○ モダンなダブルトーンの作成、風景写真の理想的な仕上げ、不要なオブジェクトの除去など、勘に頼らず思い通りの外観を作成。


● 完成したら、自宅やソーシャルメディアで披露しましょう。インスピレーションは、共有されることで輝きを増します。

新機能:静止画に動きを追加 ワンクリックでお気に入りのショットを動く写真に変換。2D と 3D のカメラモーションでユニークなアニメーションGIFができます。簡単に作成でき、ソーシャルメディアでの公開に最適です。
ADOBE SENSEIのAI技術*

新機能:顔の傾きを微調整 自動的に人物の顔の位置を調整し、集合写真で全員の顔をベストの向きに整えることができます。セルフィーにも最適です。
ADOBE SENSEIのAI技術

新機能:メッセージ入りグラフィックスで思いを言葉に メッセージ入りグラフィックスはソーシャルメディアに最適です。プリセットテンプレートを使えば簡単に作成でき、カスタマイズも自由自在。クールなアニメーションを加えることもできます。

アップデート:クリエイティビティの可能性がさらに広がるガイド付き編集 基本的な補正からアーティスティックな作品の制作まで、58種類のガイド付き編集機能が用意されています。迷うことなく思い通りの編集が可能です。手順に従っていけば、こんな操作も簡単:

● 新機能:モダンなダブルトーンを作成 写真にクールなカスタムダブルトーン効果を適用して、2色で美しく表現できます。カスタムプリセットからソーシャルサイズを選択、グラデーションを追加するなど、様々な機能があります。

● 新機能:理想的な風景写真 空の置換、かすみの除去、不要なオブジェクトの消去が簡単にでき、壮大なアウトドアシーンを作成。いつでもパーフェクトなアドベンチャー写真を作成できます。
ADOBE SENSEIのAI技術

● 新機能:オブジェクトの移動、サイズ変更、複製 ステップバイステップ式のヘルプを使えば、驚くほど簡単にオブジェクトを選択でき、位置やサイズを変更するなど様々な編集ができます。思ったとおりの仕上がりに、ご満足いただけることと思います。 アップデート:カタログ構造を自動的にバックアップ 写真と動画のライブラリ整理に欠かせないのが、キーワードタグ、人物、場所、イベントなどを指定したカタログ作成です。カタログの情報はすべて自動的にバックアップされるようになったため、簡単に復元できます。

*Adobe Sensei は、一般的なフレームワークに人工知能と機械学習を取り入れ、すべてのアドビ製品に驚きの編集機能を提供する技術です。デザインとデジタルエクスペリエンスを劇的に向上させます。


Elements 2020 でも機能的には十分満足なのですが、2021 では普段はあまり使わないような非常に高度な機能も搭載されています。例えば、ウィザードの案内に従うだけで空をそっくり置き換えたり、かすみを除去したりすることで、パッとしない風景の写真も壮大なアウトドアシーンに作り替えることも可能です。
これらは、AI 技術による ADOBE SENSEI の機能により実現されたものですが、私は未だ全ての機能を試していませんので、利用する機会があれば是非使ってみようかなと思います。


モノクロ写真をカラー化

Elements 2020 から、AI によりモノクロ写真のカラー化ができるようになりました。Adobe Photoshop Elements 2021 の機能の全てを紹介する事はとても出来ませんので、ここではモノクロ写真のカラー化の機能を紹介します。
素材は、私の母の若い頃の写真を使っています。母は、2003年3月1日、肝臓がんで他界しました。

操作方法については、Elements 2021 を起動したら、初期メニューのカルーセルの中で「写真を自動でカラーに」のチュートリアルをクリックすれば操作方法が表示されますが、操作は至って簡単です。以下の順番でメニューを操作するだけです。

📌 カラー化の操作:初期メニュー「写真の編集」→ 「画像データを開く」→ 「画像調整」→ 「写真をカラーにする」

カラー化の機能については、元画像がモノクロなので仕方ありませんが、画像の状態によっては、巧くカラー化できない領域もあるようです。綺麗にカラー化するためには、なるべく鮮明なモノクロ写真を用意し、高解像度の設定でスキャンニングする必要があります。

今回のカラー化で用意したモノクロ画像のソースは、家庭用複合機プリンタ EP-775A にて、1200dpi でスキャンし、800*600 ピクセル以下の画像サイズへ変換して作成したものです。本来はスキャンしたオリジナルの画像サイズでカラー化したいところですが、L判で 1.2MB~5.8MB のデータ量(カラーの場合)となり、カラー化の処理に膨大な時間を要するため実用的なサイズに変換しています。

なお、上の写真は母の看護学生時代のものなのですが、原版がセピア色に変色している上、一部が破れていてシワが入っていたりと、大分劣化が激しかったので、以下のように Photoshop のコピースタンプツールやスポット修復ブラシツールなどを使って破損個所を修復し、「画質調整」メニューよりモノクロバリエーション(ポートレイト)へ変換することで、一旦、セピアカラーを通常のモノクロ写真へ変換しました。
色々と試した結果、カラー化する場合はモノクロモードでスキャンニングした方が良さそうです。もし、カラーでスキャンした場合は、モノクロ化の処理を入れると綺麗にカラー変換できることが分かりました。

以下のギャラリーは、モノクロ写真からカラー化した画像(モノクロ⇔カラー)です。母以外の人物は、全員モザイクを入れております。
クオリティはさておき、若い頃の母の姿がカラー写真で蘇ったのには感動しました!

参考までにですが… 以下のギャラリーは、旧大日本帝国海軍の戦艦大和をカラー化したものです。

緊急事態宣言により外出を自粛せざるを得ない中、GW の過ごし方の一つとして、暇つぶしを兼ね、このように過去のモノクロ写真のカラー化に挑戦してみるのも面白いのかもしれませんね。 😅

Adobe Photoshop Elements 2023 の購入

本日、Microsoft Store を覗いたところ、「Adobe Photoshop Elements 2023」(定価:11,700円)が 7,605円でセール販売されていたので購入してみました。

Adobe Photoshop Elements 2021 と 2023 の違いは以下の Adobe サイトから確認できます。新機能のうち、スチール写真に部分的なモーションを加える機能は素晴らしいと思うのですが、それ以外の機能に関しては、あまり大きな変更点は無いようなので、2021 から 2023 へのバージョンアップに 7,605円 も払う価値は無かったかもしれません。😢
但し、以前のバージョンと比べて、アプリの起動に関しては大分速くなったようなので、作業の効率化という点では、一定のメリットがあるかと思います。

Photoshop の最新バージョンは、Photoshop 2023 なのですが、残念ながら Photoshop Elements 2023 とは別物であり、Photoshop 2023 (V.24)  でサポートされている複数オブジェクト選択や消去、背景(空、水、地表、植物、建築物)の検出・選択や塗りつぶし、といった高度な機能は、Elements 2023 には搭載されていませんでした。
但し、Photoshop 2023 の古い写真の復元(ニューラルフィルター)については、Elements 2023 の「写真をカラーにする」の機能と大差はないように思えます。
Elements 2023 は、あくまでも Photoshop 2023 の簡易版なので、プロユースの方は、Photoshop 2023 を選択されるのが良いでしょう。

現在、Photoshop の最新バージョンを利用するためには、以下の通り、Adobe 社のサブスクリプション契約(Photoshop CC)のみとなっており、ソフトの買い切り版(Photoshop CS)については、2013年を以て販売を終了しています。


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